ある人から、セミナーで参考書籍を紹介したが川俣さんの本はインターネットで読めるので含めなかった、と言われました。
これはいくつかの意味で、困った対応です。
ぜひ、切実かつささやかに、こういうことは行わないで下さい、とお願い致します。私が書いて出版されている本で、インターネット上にそれと同等のものがあるかのように見える場合は、本の方を紹介して下さい。
以下に、そうして頂かないと困る理由を説明します。
内容の新しさ §
たとえば、ここで問題にされた「VB6プログラマーのための入門Visual Basic.NET独習講座」について言えば、これは@ITで行った連載に加筆訂正を行い、辞書的に引けるように構成を全面的に見直したもので、別物と考えて頂きたいものです。書籍版は、内容的に新しく、使い勝手も良くなっていますので、この連載があるから本を買わなくて良い、というものではありません。
現在は、この本の内容をそのまま掲載する連載が@ITで行われていますが、これはまだ完結していません。つまり、この本は、まだインターネットでは全文を読めません。
なぜ連載されているのかという理由 §
値段を付けて売られている本の内容が、そのまま丸ごとインターネット上で無料で読める形で連載されている理由は、それが本を売るための販促手段であると考えられているためです。
仮に、本の内容をそのまま掲載する連載が完了したら、すべてタダで読めるので本を買う必要はない、というような主張を読者に対して啓蒙し、その結果として売り上げが落ちるような事態になれば、次の単行本ではインターネット上への掲載はもう無いかもしれません。
私自身が飢えないために §
それに、本が売れなかったら私は飢えてしまいます。この仕事も廃業ということになります。本に相当する現在の連載は、あくまで本の宣伝のために行われているので、この連載が@ITに掲載されても収入にはならないのです。
というわけで、ささやかなお願い §
ですので、あまり強くは主張できませんが、ぜひとも私の書いたものに言及してくれようという有り難い方々には、インターネットで無料で読めるから本を紹介する必要はない、などと思わないでいて頂きたいと思います。
おそらく、無料で読む方が良いと選択した場合、それは読者にとっても私にとっても、誰にとっても幸福な結末にはならないと思います。少なくとも、時代の変化に対応したより新しい内容に書き換えたものを読んで頂けない、と言うことは著者としては看過できない問題となります。